今年の税制改正についてお話したいと思います。

気になる「相続税と贈与税の一体化」の改正は?

わたしの周りでちょっとした騒ぎになっていた「相続税と贈与税の一体化」の改正、今回はありませんでしたね。(ほっ。)

皆さんがこれまでコツコツ続けてきた、暦年贈与110万円非課税の制度まで廃止になるかもしれないと思いましたが、富裕層が行う相続対策、生前贈与の実態にメスを入れようとしていた政府も、批判が怖くなったのか、今回は早くから諦めたようです。

ということで、今年は相続に関する大きな税制改正はありませんでした。

今年の改正、ポイントは?

一方、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置枠は縮小されました。
省エネ住宅が1500万円から1000万円、その他の住宅は1000万円から500万円となります。

私が個人的に注目したのはその受贈者の年齢要件が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられたこと。

今回は民法改正で、成年年齢が20歳から18歳に変わるんですよね。お酒やたばこ、競馬競輪の年齢制限は20歳のままですが、相続税法などの年齢要件が変わるんだと、あらためて実感しました。

たとえば、「相続税の未成年者控除」で例えると、これまでは「満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額」を控除できましたが、成年年齢が引き下げられた2年分の20万円が減る計算です。

また、不動産がらみでは、住宅ローン控除の控除率が1.0%から0.7%となり、新築住宅は、原則13年に延長されます。
「今年が買い時ですよ」とは、去年まで多くの不動産業者が使った殺し文句。特に、高額な住宅ローンを借りられる人(←ここもポイント、所得要件が3000万円以下から2000万円以下に引き下げられます。)は、住宅ローンの利息より住宅ローン控除額の方が多くなり、それが「逆ざや現象」と言われていました。これを解消すべき、と改正するようですが、効果のほどはいかに。

消費税増税で実施した「住まい給付金」もそうですが、経済効果のためには、国民にどんどん家を建ててもらいたいのでしょうから、逆ざや問題よりも、住宅ローンを借りにくい人たちを救済する政策を考えてほしいと思います。

あと、コロナ特例の「固定資産税据え置き」は商業地以外は終了するようですので、オーナーの皆さんは留意してくださいね。