将来の不安を軽減する「移行型任意後見契約」
皆さま、こんにちは、千原です。今回は「任意後見」についてお伝えします。
移行型任意後見契約
とある高齢のオーナー様の事例をご紹介します。
収益物件の買い替えを検討されていて、売却が済み、購入物件が決まったあたりで、ご本人の体調が悪化。判断能力はしっかりしていますが、外出が困難になり、銀行に行くことができなくなりました。本人は同居の息子に全てを委ねたかったのですが、銀行からは「本人が来ないと家族でもお金は引き出せない」と言われ、その物件の購入は諦めることに。
そこで私は「任意後見移行型の委任契約」をお勧めしました。
任意後見制度の「3つの種類」とは?
任意後見制度には「移行型」「即効型」「将来型」と、3つの種類があるといわれています。
今回お勧めしたのはこのうちの「移行型」で、本人と息子との間で、本人の判断能力があるうちは、「生活や療養看護、財産管理等の事務」を委託する「委任契約」を締結し、本人の判断能力が低下してしまった後は、「任意後見契約」に移行し、息子がそのまま任意後見人になることが出来る契約です(家裁に選任請求が必要)。
これにより、銀行は「代理届」で、代わりに取引できるようになります。
先日、近くの公証役場から公証人に出張してもらい、無事に公正証書で契約をすることができました。
契約が終わって、ご子息から「お陰様で、長い間懸念だったことが、晴れたような気がしています。これで母も僕もこれから安心して暮らせます。1年も前からこの契約を千原さんに勧められていたのに、すぐにやらなかったことを、母も僕も、今とても後悔しています。」と話してくれました。
「任意後見制度」とは、ご自分で決められるうちに、認知症や障害などで判断能力がなくなってしまった場合に備えて、本人が自分の意思で選んだ人と公正証書で契約をして、自己の生活、財産管理や介護・療養など、本人の代わりにしてもらいたいことを決めておく制度です。
一方、「法定後見制度」は、判断能力が不十分になってしまってから、家族などが申し立てをして、家庭裁判所が後見人を選定する制度なので、こちらは、本人の希望する後見人を選任することはできません。
厚生労働省のHPには、「この先あれこれ決められなくなる前に、自分らしい生き方を自ら決める任意後見制度」と書いてあります。
お元気なうちに、将来への不安を少なくできる制度があるってことを、もっと皆さんに知ってほしいと思いました。